Bazaar cafe　〜バザールカフェ

バザールカフェは、1998年「様々な人が共生する」ことを目的として始められた、非営利で運営されるカフェ。
ここはアメリカ人建築家・ヴォーリズが設計した旧シャイブリー邸をカフェとして利用している。地下鉄・今出川駅から程近い住宅街の一角にあり、小さな黒板が掲げてあれば、営業中の合図。

「今日はどこの国の料理かな？」 黒板に日替わりメニューが書かれてる。　 今月の料理予定も下の看板にあるので 食べたい国の料理をチェックしよう。

門を入って板を渡した通路を通って奥へ。緑豊かな庭に張り出した白いオープンデッキがカフェへの入り口。ここで靴を脱ぎ、スリッパに履き替えて中へ。個人宅におよばれしているような、そんな気分。

暖炉があり、小さなピアノが置かれた応接間と居間を一つにしてカフェにしている。正面に大きなカウンターがあり、日替わりプレートが見本として並べてある。ここで注文して、先にお金を支払うシステムになっている。

これはイタリア料理。『ラザニア』と 『ガーリックトースト』のセット。

日本に滞在する外国人がシェフとして腕をふるうランチは、各国の家庭の味を楽しめて、とても美味しい。タイ、フィリピン、韓国、タンザニア…。

お気に入りは、韓国の『かぶせご飯』とタンザニアの『ムチュージ＆ピラウ』。『かぶせご飯』は肉や野菜などコチュジャン風味の炒め物をご飯にかけてある。ピビンパプと違って他ではあまり見かけない。添えられたチヂミも、もちもちで美味しい。

タンザニア料理は、ここで初めて食べた。ムチュージは、ハーブの香り豊かなトマト味の鶏肉と野菜のシチュー。ピラウはスパイスたっぷり、ほんのりココナツ味のピラフ。一度食べるとクセになる味。

タイ料理の『パットホイライ』も、忘れられない味の一つだ。これは、アサリとニラを甘辛い味付けで炒め煮にして白いご飯にかけたもの。最近、見かけないが、もう一度食べたい！

『かぶせごはん』(左)と、 『ムチュージ＆ピラウ』(右)。　 どちらも余り見かけない 家庭料理です。

庭のデッキはオープンカフェになっている。大きな夏ミカンの木に花が咲く頃、ここでランチをいただくのは、本当に気持ちがいい。そよぐ風、蜜に集つまるミツバチの羽音、舞い飛ぶ蝶々…。小さな青い実が、黄色く大きく実っていくのを眺めていると、普段忘れがちな季節の移り変わりを身近に感じる。

冬には、暖炉。いつもついているわけでないが、炎は寒い時の何よりのご馳走だなぁ、と思う。 時折くべられた薪がパチンと弾け、オレンジ色の火柱が立つ。 大きな窓から差し込む冬の柔らかな陽射しを浴び、ゆったりと料理が運ばれるのを待つ。 のんびりと、いい時間。

100坪はあるという庭には200種を超える植物が栽培されている。カフェで出た生ゴミはコンポストで堆肥にされ、肥料として使われる。また、庭やカフェ内部はバリアフリーになっている。スタイルじゃない、本当の「スロウライフ」って、こういうことなんだな、と思う。　（＠くみ）