名曲喫茶みゅーず

昭和29年創業の老舗名曲喫茶。
オーディオセットが大変高価なものだった昭和初期〜30年代にかけて、数多くの音楽喫茶が流行したという。昔はばんからな学生のたまり場だったが、現在は、おしゃべりOKの気楽な名曲喫茶だ。

こうした店が姿を消しつつある今、音楽ファンには貴重な存在と言えるのかも。CDは約800枚はあるらしく、入り口すぐの棚にズラリと並んでいる（この棚はひそかな私のお気に入りである。丈夫で使いやすそう…）。リクエストＯＫでレジ台にリクエスト用紙がある。

間口は狭いが奥行きがあり、 すっきりした感じだ。

赤いビロードの椅子がノスタルジックな雰囲気の店内は、１階・２階に分かれている。

１階の窓のすぐ下を高瀬川が流れている。川沿いの桜並木が満開の時期は大人気で、なかなか座れない。はらはらと風に舞い、川面を流れる花びらは美しいし、絵になる。けれど夏の濃緑の木陰、秋の紅葉、冬枯れの枝も、四季折々それぞれ捨てがたい。

１・２階ともに春、 高瀬川沿いに植えられた 桜並木が満開になる頃は、 素晴らしい景色を堪能できる。

２階は小さな窓に高い天井、太い梁を活かした山小屋風の造りで、憧れの「アルプスの少女ハイジ」の屋根裏部屋を訪れた気分。私のお気に入りは、２階へ階段を上がった突き当たりにある、少し高くなった小部屋風の席。何となく落ち着くから。でも、競争率が高いのが残念…。ランチタイムには２階は準備中の時もあるので、要注意。

音楽に耳を傾け、 川を眺めながら「どうぞ」。 まさに『贅沢三昧』。

珈琲は苦味がきいているが、酸味はなくすっきりした味わい。音楽を聴きながら何杯でもおかわりができそう。

珈琲を飲み、音楽を聴きながら高瀬川を眺めたり、本を読んだり、おしゃべりしたり。そうしながら、川向こうの木屋町通りをゆく車や人を眺める。せせらぎと、音楽と、珈琲の香りと。日常から、すぐ手の届く非日常がここにある。